千年という一つの夜の始まりは
去りゆく光の最後の剣
傷は深く彼らに光を覚えさせ
闇は血となりあふれ流れた
それは大地に沁みわたり
記憶の光は怒りの炎へ姿を変える
闇の中に再び灯った光の姿はまた剣
彼らは自らを切り裂いて剣を手に取った
闇を切り裂く闇たちは光と言う血を流して大地を染めた
そうして千年と言う一つの夜が終わった
闇を作る罪人は王
剣の為に作られた子供は魔となり闇を裁った
夜明けに彼らは闇を想い嘆いた
魔は残され永久に光を恨むのだろう
剣を手にしたまま
再び結ばれた闇と光
千年と言う一つの夜の名だけを残し
その記憶を捨て去った
夜は始まりの朝と姿を変え
罪は徳と代わり世に広がった
始めに無くした光を 誰も思い出しはしなかった
“魔”以外は誰も……
この世界が始まる前に、正しき世界が初めから存在していた。
その世界は正義と悪の争いが絶えず続いたので、世界を束ねていた中立の神が争いを終わらせるために世界を放棄した。
争いを望まない神々と人々を連れて新世界に旅立った。
この世界は争いばかりを望むまがまがしい者達ばかりが残った。
世界は混沌と混沌でできていた。すべての魔法が存在し、すべて力あるものの思い通り、それは神と人の差をなくした。
人は神に似せて自らのしもべを生み出した。それは虹の色の数だけ存在した。
それぞれの人の王が、それぞれの王のものを奪うためにそのしもべを、魔を放った。
争いは長く続き、より相手を深く傷つけるために、彼らは正義と慈愛を生み出していった。
それはかつてこの世界を去った、もう一つの姿に似ていた。
やがて人の王と王はそれぞれの魔によりうち滅ぼされ、新しい正義がそのあとに立った。
その頃には、世界は安定し、万能な魔力も、思い通りになる力も薄れていった。世界はいまだ混沌と混とんで安定しており、
どうなっても、どうにでもなった。
人間たちは、この世の前にもう一つ、世界があったことを忘れた、そしていつか、七人の王が争い合っていたことも忘れた。
ただ、王たちによって生み出された魔たちだけが、この世の前の世界のこと、そして王のことを覚えていた。
けれど彼らも、人間たちの世界からは忘れられていった。
争いの夜は千年で終わったが、現在はそれよりも一万八千年も経ってしまっていたのだ……。
戦いの意味をなくしても、まだあの王のしもべ、魔はどこかに生きているだろう。
従うべき主をなくしても命を紡いでいるだろう。
なぜなら彼らは神に似せて作られた。神のように彼らは生きている。
ただ人間たちは、本来の神々のことも、もうすっかり忘れてしまっていたのだった……。
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