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蝋燭の考察

Twitterで話していた事のメモ


光を考える時に、それは単に希望や暖かさだけではない側面も考えてしまう
昔読んだ本の後書きに、
”光こそが破壊の力を持っている。”
というようなことを書いてあって、確かにそうだなと思ったので
蝋燭を考える時に、小さな炎でも、扱い方を間違えれば全てを燃やす火種になりうるということも考える

光であることの傲慢さ
みたいなこともきっとあるはずだ



蝋燭の光は闇と共存するのだから
光の中でも闇側なのではないかと
ずっと思っております。
むしろ、闇がなければ灯される理由がなくなったりするのだから、闇と共にあるという事は蝋燭の運命のような、必然のような……。

 暗闇の中に蝋燭があった。

 蝋燭のそばには杯があった。

 杯の中には酒がある。

 蝋燭は自らの光でその酒を照らす。

 杯はそれをひどく不愉快に思う。

 なぜならその酌まれた酒は、ただの水である可能性があるからだ。

 杯は、その正体を見破られることをひどく恐れいていた。

 蝋燭は言った。

「もしそれが水だとして、そうしたらその水で僕の炎を消せばいい。そうすればそれが水だと知った僕はいなくなるだろう?」

 それを聞いた杯はこう言った。

「そうしたとして、それがもしも酒ならば、お前は更に燃えるだけだろう?ここが空になるだなんてごめんだね」

 それを聞いた蝋燭は黙って揺らめいた。

 杯の中に酌まれたものは、水か、酒か。

 その正体を杯自身も知らなかった。

 杯の中身を蝋燭にこぼせば、その正体は明らかになるだろう。

 しかし二つは暗闇の中でじっと黙り、どちらの可能性も試すことなく、ただ存在していた。