君は、あの夜空の一番高いところで、強く輝く、そんな星のもとに生まれたけれど、月のような価値もなく、太陽のような意味も持たず、君は君自身の成すことを、ずっとずっと探していたね。
君は誰かの為にと、在ろうとするほど、大事なものを少しずつなくして、君の闇は暗闇ではなく、底の見えない大きな虚だった。
同じ暗闇なら君は、太陽の為の陰でありたかったって、気づいた時に君は救われただろうか?
かつて星だった狼がいた。
狼は長い夜を彷徨う旅人だった。
彷徨ううちに星であったことを忘れた。
狼であることも忘れた時に太陽に出会い、そして失った。
狼は失われた太陽の影になった。